パートを検証してみる
親たちが朝の通勤時に子供を最寄りの駅に連れていき、子供たちが集まると、駅近くの企業の寮や倉庫があった所に保育所がつくられていて、そこへマイクロバスで運んでくれる。
夕方は親が何時に帰ると連絡しておくと、子供たちが朝と同じ駅に来て待っているという具合である。
自社の保育施設が最寄り駅になくても、保育ネットワーク参加している数百社の企業が共通利用券を発行すれば、首都圏に住むほとんどの人が使うことができる。
上記の構想は、そういうネットワークをつくろうという提案である。
民間企業の保育施設だから公立や社会福祉法人立に比べて補助率は低く、財政負担はずっと小さい。
それから、認可保育所に比べて補助が薄い分だけ延長保育やお泊まり保育、病児保育など多様なサービスを提供できるため、より多くの子育て勤労家計が保育サービスを受けられることになる。
この構想は、筆者が二OO一年九月に小泉首相に提案したのがきっかけである。
小泉首相が実現に向けて努力するようにという指示をされ、同年二月の改革工程表に「民間の資産を利用した複数企業によるネットワーク型の保育施設の普及を図る」という文章が書き込まれた。
しかも二OO一年度中に措置をするということになった。
ネットワーク型保育施設の具体例その具体例の一つは資生堂である。
同社は、創立二ニO年記念事業の一つとして二OO三年九月に汐留本社の隣のピルにネットワーク型保育施設、カンガルームをオープンした。
二O人から三O人の保育サービスの提供を想定し、運営はポピンズコーポレーシヨン(中村紀子社長)に委託。
設備・サービスともに最新のものであり、細心の工夫が施されている。
大変評判が良く、見学者も多い。
設立に当たり、一二世紀職業財団から設備費の二分の一上限二三OO万円)の補助が出たが、この施設を近隣企業にも開放できるようになったことが重要である。
いままでは一二世紀職業財団の補助は原則、当該企業の従業員向けのものに限定されていた。
それがこのケ−スで初めて他企業の従業員が受益者であっても適用されることになった。
これがネットワーク型の最大の利点である。
資生堂の例で言えば、隣の電通とニチレイとーBMがカンガルーム利用している。
こうしたネットワークが何十カ所もできてくるとさらに大きなネットワークになり、首都閏あるいは近畿圏、九州圏等、どこへ行っても何らかの施設を利用できるようになる。
もう一つの例として、北海道にコティという名前の保育所のネットワークがある。
これは水津佳寿子さんという女性が経営者だが、筆者などの構想よりはるかに以前から事業所内保育施設を展開してきている。
これは、事実上のネットワーク型保育施設になっていると一言守える。
かつて日本の事業所内保育は工場の中にあったが、この三0年間ほどでほとんど消えてしまい、いまでも残っているのは病院とヤクルトだけである。
病院が九五%ぐらいで、残り数パーセントがヤクルトである。
病院に残っているのは、看護師さんの子供の保育のためである。
コティは、病院の保育を肩代わりするといって参入した。
どの組織も事故が起きるのを嫌うから、専門業者が肩代わりするというと喜んで任せてくれる。
それからショッピングセンターに対して、そこで働くパ−トの子供たちの保育サービスを提案。
もちろんショッピングセンターの経営者はリスクが高いから自分ではやらない。
そのリスコティは従業員の三分の一ぐらいが救急救命士の資格を持ち、子供に何か起きたときには直ちに適切な対応ができるという自信を持っているから、あえて責任を取るということができた。
買い物客の子供まで預かるようにしたために好評を博し、いまでは本州の五O庖舗で展開中である。
コティの水津社長はテレビのキャスターを経て司会業などをしていたが、バブル崩壊で客が激減して苦しんだ挙旬、景気に変動されず世の中から評価される仕事をしようとして気がついたのが保育サービスだったという。
自分がたま三人の乳飲み子を抱えていてなじみがあり、これだと決めて六畳一聞から始めた。
日本郵船が都心の本社ピルの中に保育施設を持って、優れた施設サービスを提供している。
最初は日本郵船の社員に限定していたが、社員の数が少なく使用者が少ないので、現在は他の企業に開放することを検討中である。
認可保育所のサービスは特に大都市で不足しており、施設定員に比べて需要がはるかに大きい。
例えば首都圏の潜在需要は、施設定員の数倍から十数倍も大きい可能性がある。
特に一〜二歳児は、東京の認証保育所や横浜の横浜保育室など自治体独自の施設や無認可保育所等のすべてを勘案しても、潜在需要に対してなお圧倒的に供給不足である。
ネットワーク型保育所はこの不足を緩和する効果が期待できる。
第二は、勤労家庭に便利なサービスという点である。
先ほど述べたようにネットワークは駅を活用する。
駅とサテライトと中核保育所のネットワークに参加する企業が増えるほど利用者にとって便利になる。
公立や社会福祉法人立の保育所と直接パツテイングせず、摩擦が比較的少ないこともメリットである。
第三に、事実上の保育パウチャ−制になっていることである。
共通利用券が配布されているから、自宅の近くに自社の施設がなくても、自宅か通勤途上の駅の近くにあるどこかの企業の施設を利用できる。
共通利用券は事実上のパウチャ!の役割を果たす。
つまり、サービスの良い施設ほど利用者が増え、良くないところは利用者が減って立ち行かなくなるからだ。
パウチャ−制には実は厚生労働省は昔から強く反対している。
これを導入すると、公立や社会福祉法人立の保育所のように利用者の便利さを優先しないサービスは利用者が減ってしまう恐れが大きいと思われる。
パウチャ−制の導入はいわば三O年戦争である。
規制改草会議もこパウチャ−制の導入を主張し続けているが、厚生労働省はそれを認めていない。
ネットワーク型構想には事実上、こうした抵抗勢力の外堀を埋めてしまう働きが期待できる。
子育て支援政策の雇用効果については、政府は総合的な子育て支援政策が実施されるという前提の下で、二0001二OO五年の五年間で七・六万人、二OO七年までには一0・四万人高齢将ケア・子育て支援サービスの雇用増が見込まれるとしている。
うち新エンゼル。
フランと待機児童ゼロ作戦による雇用増は、二OO四年以降も同様の政策が実施されるという仮定の下で、二OO五年に五万人、二OO七年に八万人が見込まれている。
事業所内保育施設の展開については、二OO五年までに0・四万人、二OO七年までに0・六万人の雇用創出が見込まれるという。
ただし、事業所内保育施設についての推定は最低限のものであり、ネットワークが広がり、使い勝手が良くなれば、その普及は加速されると考えられる。
それに従って雇用もさらに大きく増える可能性があることを指摘しておきたい。
子育てのしやすい国を目指して少子化の進展を放置すれば、労働力の減少や国民負担の増大、国民所得の減少、経済活力の低下をもたらす。
少子化対策として外国人労働力導入論がある。
基本的人権を保証できるなら外国人労働力の導入も有効な手段だが、それを十分に保証できないなら外国人の導入は新たな社会問題を生み、社会にとって大きなコストになる。
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